20の短編小説/朝井リョウ他

●本の基礎データ(書名、著者名、出版社、価格、出版年月日、ISBN)
20の短編小説 (朝日文庫) -
20の短編小説 (朝日文庫) -

●本の所在、読書期間、本の読み方(流し、部分、通読、精読)、難易度、評価
図書館、1週間、通読、中学生以上、73/100

●本全体、あるいは各章ごとの概要
20人の作家による「20」をテーマにした短編小説集。

清水課長の二重線 / 朝井リョウ
Across The Border / 阿部和重
if / 伊坂幸太郎
二十人目ルール / 井上荒野
蒸籠を買った日 / 江國香織
十二面体関係 / 円城塔
悪い春 / 恩田陸
20 / 川上弘美
20光年先の神様 / 木皿泉
マダガスカル・バナナフランベを20本 / 桐野夏生
いま二十歳の貴女たちへ / 白石一文
ペチュニアフォールを知る二十の名所 / 津村記久子
ウエノモノ / 羽田圭介
ブリオッシュのある静物 / 原田マハ
人生リングアウト / 樋口毅宏
ヴァンテアン / 藤井太洋
法則 / 宮内悠介
廿世紀ホテル / 森見登美彦
もう二十代ではないことについて / 山内マリコ
20×20 / 山本文緒

●個人的な知識・ターム覚えておきたい事+キーワードで興味のあるもの
ヴァン・ダインの二十則
推理小説家S・S・ヴァン・ダインが「アメリカン・マガジン」誌(American Magazine)の1928年9月号に掲載し、1936年に刊行した自らの短編集(Philo Vance investigates)に収録した、推理小説を書く上での20の規則である。

1. 事件の謎を解く手がかりは、全て作中にはっきりと記述されていなくてはならない。

2. 作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者自身が読者を騙すようなトリックを仕掛けてはならない。

3. ストーリーを読み解く上で意味のないラブストーリー的要素を登場させてはならない。

4. 探偵自身、または探偵役に該当する人物が犯人に急変してはならない。これは読者を騙すアンフェアな手である。

5. 作中で起きる事件は論理的な推理・考察によって解決されなければならなず、偶然・暗号・または唐突なる犯人の自供によって真相が暴かれることがあってはならない。

6. 探偵小説には必ず探偵役が登場しなければならず、その探偵役または関連する人物によって謎解きが成されなければならない。

7. 死体を登場させなければならない。殺人無き長編小説では読者は興味を示さないだろう。

8. 占いや心霊術、読心術などで事件の真相が暴かれてはならない。

9. 探偵役は一人が望ましい。複数居ては事件の考察が分散しやすくなり、読者の混乱を招くことになる。

10. 犯人は物語の中で重要な立ち位置にある人物でなければならない。物語の終盤で初登場した人物が犯人となるのはアンフェアである。

11. 端役の使用人が犯人であってはならない。そのような立ち位置の人物が犯人ならば小説にするほどの価値は生まれない。

12. いくつ殺人事件があっても、真犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい。

13. 探偵が登場する作品においては、秘密結社など非合法の組織が犯人役であってはならない。組織が犯人では金銭などの援助を受けられる為アンフェアである。

14. 殺人の方法及び、それを暴く探偵の捜査方法は合理的かつ科学的でなけばならない。例えば殺人の方法が毒殺の場合、未知の毒薬を使ってはならない。

15. 事件の真相を暴く為の手がかりは、作中の探偵が明らかにする前に全て読者に提示されなくてはならない。

16. ストーリー展開に影響を及ぼさない描写や文学的表現は省略すべきである。

17. プロの犯罪者を犯人にしてはならない。一般人に収まらない犯罪者なら警察が片づけるべきであり、読み物なら一般人に推理できる犯罪者が望ましい。

18. 事件を犯人の事故死や自殺で終わらせてはならない。このような終わらせ方は読者にとっては詐欺である。

19. 犯罪の動機は個人的なものでなければならない。組織的な動機や陰謀の類ならばスパイ小説で書くべきである。

20. 既存の推理小説で使い古された手法は使うべきではない。以下に一例を記述する。
 ・犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法。
 ・インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる。
 ・指紋の偽造
 ・替え玉によるアリバイ工作
 ・番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる。
 ・双子の替え玉トリック。
 ・皮下注射や即死する毒薬の使用
 ・警官が踏み込んだ後での密室殺人
 ・言葉の連想テストで犯人を指摘すること。
 ・土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法


●自分の見解(読後感・意見・反論・補足など書きたいと思ったこと)
おなじみの短編集。
今回は前回の反省を踏まえて、複数作家の短編小説集。
この手の方が各作家の珠玉の作品集感があっていいよね。
それぞれ共通するテーマ「20」であるにも関わらず、捉え方はそれぞれ
20の約束、20歳、20の法則、20人の関係者、20秒のカウントダウン……
その違いは興味深い。

しかし、まあそれなりにどれもよかったけど、
「おぉぉぉ……」っとなるほどのものはなかったかなぁ。

そんな中でもダントツに気に入ったのは
『ペチュニアフォールを知る二十の名所』 だな。
この並びの中では小説としては明らかに奇作。
奇をてらっている構成だろう。
しかし、まさに「めくるめく」展開であり、その先にある真実を追い
ページを繰る指が止まらなくなる。

これを読みながら想像したのは、
ディズニーランドのアトラクションの背景設定みたいだなぁと。
たしかタワーオブテラーあたりはこんなくらいの背景が設定されてるんだよね。
そして、それをにおわせる物品がスタンバイ(待ち列)の途中に並んでいたりする。
(これを見てるだけでアトラクション並みに楽しかったり)
多少ブラックな話ではあるが、旅行プランのような語り口調で進んでいくので
どこかわくわくすらしてくる。その光景もイメージできるようでよい。

他の作品でいえば、
『蒸籠を買った日』は結構好きで作品も何作も読んでいる
江國香織の一本だ。
しかしどこか、いつもの江國の感じがあまりしなかった。
掴めばするりと抜けていくような、現実とファンタジーの境のような展開/作品。
それなりに楽しめたがちょいと想像とは違った。

一つ一つそれなりに感想はあるが、
さすがに20本はながくなるのでこれくらいで。

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