『失はれる物語』/乙一

●本の基礎データ
・書名、著者名、出版社、価格、出版年月日、ISBN

失はれる物語 (角川文庫) -
失はれる物語 (角川文庫) -

●本の所在、読書期間、本の読み方(流し読み、部分読み、通読、精読)、評価

最寄りの図書館、5日、通読、72/100

●本全体、あるいは各章ごとの概要(極詳細不要、必要なら詳細、不要で省略、部分抽出可)

気になっていた乙一。久々の短編集。
「Calling You」「失はれる物語」「傷」「手を握る泥棒の物語」「しあわせは子猫のかたち」「マリアの指」「ボクの賢いパンツくん」「ウソカノ」の8編
「しあわせは子猫のかたち」が一番よかった。傷もよかった・
喜劇なのか悲劇なのか、どちらも来うる作品群である意味はらはら

●個人的な知識・ターム
覚えておきたい事(本全体の主張と関係なくともよい) + キーワードで興味のあるもの

特になし…?今回は娯楽作品かな。

短い説明とページを記入
自分の見解(読後感・意見・反論・補足など書きたいと思ったこと)

べつに長編が苦手ということじゃないが、短編集は好んで読む。
話の構成を見るうえで、短編集の方が好きなんだと思う。
そういうわけで、短編集は積極的にチェックしており、この作品も抑えられていた。
乙一さんのを読んだのも初めてだが、本作収録タイトルはメディアミックスされ、
映画や漫画にもなっているらしい。すごいね。
じゃ、個々の感想を。

「Calling You」
心の中の携帯電話が心の中で通話できる。
電話の相手とはタイムラグがある。
心揺れ動く二人、実際に会うことに……
まあざっくり言ってしまえば、全体によくある話。
定番という意味で安心して見られる。

「失はれる物語」
表題作。ずっしり重い。後味が…悪いって言われ方もわかるかなあ。
主人公の辛さもあるけど、奥さん側もすごい辛いと思う。
言ったことを後悔するのもつらいけど、
言いたいこと、伝えなきゃいけないことを伝えられないままになる
ってのはそれに匹敵したり、それ以上に辛いこともあると思う。
身近な人だから、いつも話そうと思えば話せるから
そういう言い訳をしていると、本当に話したいことができた時に
もうその人はいないかもしれない。
人と相互に通信できるありがたみを感じさせられた。

「傷」
触れることでどんな傷でも治せるような能力を持つ少年と
親に見放された少年の交流の話。
傷っていう目に見えるダメージだから「能力」としてみてしまいがちだが、
社会の中でもストレスの掃溜めになってしまう人ってのはいる。
いずれにしても自己犠牲感が著しくてつらい。
「人が傷つくくらいなら、自分が犠牲になる」
まさにこれ。
…でも、自分も自分だけが満足して過ごすのは無理だなと思ったり。

「手を握る泥棒の物語」
比較的バラエティ作品?
最後のシーンは少しどきっとさせられる。

「しあわせは子猫のかたち」
一番よかった。
幽霊との共同生活には心温まる。しかし、ただのほのぼの作でもなく
ミステリー要素もあって少し驚いた。
でも空気感も、文体も好き。優しい気持ちになれた気がする。
写真を撮るというのは、人の幸せを切り取るっていうような雪村の
考え方はとても良いと思った。
人の幸せに純粋な目を向けることができる雪村、とてもよい。

「マリアの指」
基本的にミステリー作かな?
いやぁこの作品に関してはミスリードに引っ張られたわ。
もちろん犯人も容疑者の中で意識してたけど、それじゃつまらんやろ…
と除外してた。
他の容疑者に怪しいところあったじゃーん。
なくなった白衣とか、研究室のメモ帳とか。動機まで結び付けられると
おもったのにー。
話としては理解できるけど、えぇ?って感じだったな。

「ボクの賢いパンツくん」「ウソカノ」
特に言及なし。ウソカノは悪くなかったかな。

全体でいえば可もなく、不可もなくといったところ。
めっちゃハマる、乙一はまるって程じゃなかったけど、
機会があったら他の作品も読みたいなって感じ。

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